2006年1月臨時活動日誌 |
羅須地人鉄道協会
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・…ヤツがでてきた。 |
関東地方に大雪が降ったある土曜日…。
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・永き眠りからの目覚め |
故郷・頸城野を去って幾星霜、あちこちを流転し、ようやくたどり着いたまきば線。
しかし、故郷とは比べようもない積雪の少なさ。 かつては大雪のたびに、列車の先頭に立ち、列車運行の危機を救ってきたラッセル車「ラキ1」も、まきば線では活躍の場はなく、側線の端っこで惰眠をむさぼ る日々が続いていました。 しかし、まきば線始まって以来の大雪に、いよいよ永い眠りから覚める日が来たようです。 酒井102+103の重連に推され、線路に降り積もった雪をかき分けていきます。 未明から降り始め、午後になってもやまない雪は、ふるさとを思い起こさせます。 もちろん、かつて故郷の深い雪の量とは比べ物になりませんが、そのブレードでしっかりと雪を線路脇に押しのけていきます。 雪に覆われていた線路は… みごとに雪の中から姿を現します。 そして、酒井重連+ラキ1という重量級編成が木橋に差し掛かります。 木橋の上に積もった雪もしっかりかき分けて行きます。 そしてみごとにラッセルされた木橋 |
・あぁ、ここはやっぱりゆめの国だ! |
そして、とうとう6号機も登場し、雪の中を走る蒸気機関車+木造ラッセル車という、 もう日本国内では絶対にお目にかかれない光景が目の前に広がりました。 もともとラッセル車ラキ1は2’6”ゲージ用の車両で、まきば線の2’ゲージ用の車両たちよりも一回り大きいのでした。ちいさな6号機とおおきなラキ1で はとてもアンバランスになってしまうのではないかと心配していましたが、2両をつなげてみると、なんともしっくり収まるではありませんか。 さっそく、6号機が力を振り絞り、酒井のあとを引き継ぎ、除雪作業に勤しみます。 決して軽いとはいえないラキ1ですので、6号機は目一杯の力でがんばります。 静かな牧場に6号のドラフト音が響き渡ります。 そして、ちいさな赤い蒸気機関車に推されたみどり色のラッセル車が… 目の前を… 通り過ぎていったのでした。 |
・舞台裏 |
ラキ1のまきば線の本線走行は、実は今回が2度目です。 初めての走行のときになんと「脱線」してしまい、それ以来、ヤードの隅でじっとしていることになってしまったのです。 もともと、ラキ1は新潟県の頸城鉄道というところで使われていた車両で、前述のようにほかの車両より一回り大きく、しかもゲージを縮めていますから、重心 も高く、不安定そうに見えます。また、構造上、頸城鉄道で貨車からラッセル車に改造した際にサスペンションを固定してしまっており、車輪の線路への追従性 もあまりいいとは言えません。 もう、まきば線を走ることもないのか、とも思われていました。 この日、ラキ1を本線に引っ張り出したAさんはこのように語っています。 「一度脱線したことのある車両をこんな悪天候の日に引っ張り出す危険は承知していました しかし、線路の状態も当時から比べ格段に向上しており、また、前回の脱線のときも現場にいましたが、急曲線での競合脱線であり、その根本原因がオーバーハ ングの異なる車両を短いリンクで連結したため、と判っていました。 降り積もる雪を見ながら『ここで出さなければ、この先もずっとラキは置物のままになってしまう』と考えたんです」 まずは側線の手前の車両をどけ、奥のほうにあったラキを本線に引き出します。 機関車との連結には1mほどのドローバーを使い、競合脱線防止の対策を講じました。 また、ラキの車両限界に引っかかる乗り場は一時的に分解されました。 分解された乗り場。 もちろんラッセル通過後再度組み立
てられた。
「たぶんその場にいたみんなが、『なんとかもう一度雪をかき分けさせてやりたい』、そう思っていたと思うんですよ」 Aさんは語る。 「正直、寒さは気になりませんでした。ただ、ラキが雪を押しのけているのが嬉しくて…」 そう語るAさんは本当に楽しそうでした。 「ゆめのような時間だ」
その場にいた羅須地人たちはみなそう思っていました。 またいつの日か、またラキは本線に出てくるでしょう。 まだ、ゆめは終わっていませんから。 |
ま
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